お箸のマナー

日本料理コラム

今こそ日本人は箸の使い方を知っておくべき?

近年は空前の日本旅行ブームとして海外から多くの外国人がやってくるようになっています。ほとんど知識もない中初めて日本にやってくる方もいれば、ある程度日本の文化に慣れ親しんだ方もいらっしゃるでしょう。

 

特に、食事の際のマナーに気を使っている外国人も少なくありません。中には日本では大半の店で箸を使わないと料理を食べられないと知っているせいか、あらかじめ箸の使い方を練習してくる人もいるくらいです。

 

我々日本人としては箸を見事に使いこなしている外国人を見ると感心させられてしまいますが、一方で自分の箸の使い方は大丈夫だろうか、と不安にもなってしまいます。たとえば、日本料理店などで外国人と隣り合わせた際に、向こうの箸の使い方は完璧なのに、こちらの使い方は雑で恥ずかしかった、ということになりかねません。

 

この機会に箸のマナーを一から点検したうえで、正しい料理の食べ方を学んだほうがいいでしょう。

 

やっていたらみっともない箸の使い方

子どもの頃は箸を使うにあたって大人から色々と指摘を受けながらご飯を食べていましたが、大人になるとなかなか指摘してくれる人がいなくなりますから、マナーはつい忘れてしまいがちです。

 

特に、悪いマナーの一つとされるねぶり箸は誰もがうっかりやってしまう違反なのではないでしょうか?お米のような食材の場合、どうしても粘り気がありますから箸にくっついてしまいやすくなります。それを取る際に箸を舐めるようにしてしまうと、見た目が悪くなってしまうのです。

 

それでは、箸にご飯粒などがついてしまったらどうやって取ればいいのでしょうか?一つはお茶碗などに箸を軽くこすりつけてご飯粒を取る方法があります。それを改めて拾った上で口に入れましょう。

 

もう一つは懐紙と呼ばれる紙を使ってふき取る方法があります。日本料理店などではテーブルにこれをあらかじめ用意してくれる場所もありますので、積極的に活用するようにしましょう。

 

食べると決めたらすぐに決断しよう!

ご飯を食べ終えて次の料理に箸を伸ばそうと思ったけれど、またご飯が口の中に残っていて辞めた、という経験は誰もがやったことがあるかもしれません。とはいえ、一度伸ばしてしまった箸を引っ込める行為はやはりマナー違反です。これはそら箸といって、みっともない行いとみなされてしまいかねません。これを防ぐためには、一つ一つの料理を丁寧に味わいながら食べるよう心がければいいでしょう。

 

また、このそら箸と似たようなマナー違反に迷い箸というものがあります。あの料理もおいしそうだけど、この料理もおいしそうだな、と箸をあちこちへと向ける行為がこれにあたるのですが、はた目から見ればやはり見苦しいことには違いありません。もしどの料理を食べようか迷った際は、手を伸ばさずに目だけを使って選びましょう。

 

このように、箸を使う上では決断力が大切になるケースが多々あります。

 

縁起でもない行為はもってのほか!

次になかなかやる人はいないでしょうが、一応マナー違反とされている行為を紹介していきましょう。

 

一つは盛られたご飯に箸を突きたてるたて箸という行為です。お葬式などにいってみたことがある人もいるかもしれませんが、ご飯を支えに箸を建てるというのは人が亡くなった時にするべきものです。何気ない食事中にこうした行為をやってしまうと、罰当たりな人間と見られてしまいかねませんので、くれぐれも注意しましょう。

 

もう一つは箸渡しという行為です。遠くにある料理を他の人に取ってもらうにあたって、箸から箸へと渡すことを指す言葉なのですが、もちろんこれはみっともない行為ではあります。でも、なぜこれが縁起でもない行いとされてしまうのでしょうか?

それはこの行為が火葬を連想させてしまうからです。火葬の際は焼きあがったお骨を骨壺に入れるために箸を使いますが、この際大きい骨は二組の箸を使って支え合うように持ち上げる必要があります。これと同じように料理を二つの箸で支えるように持ってしまったら、やはり縁起でもない行いとみなされてしまうので、しないに越したことはありません。

 

マナーを踏まえたうえでおいしく料理を食べよう!

このほかにもマナー違反とされる行為はたくさんあります。たとえば、箸でもって人を指す行為だったり、一つのおかずばかり集中して食べる行為だったり、箸を噛んだりする行為などが挙げられます。色々あって大変なようではありますが、すべて他人が見て見苦しいと思う行為ばかりです。食事中にみっともないものを見せられてしまったら、せっかくのおいしい料理も味気のないものとなってしまうでしょう。

 

こうしたマナーは誰もが快く料理をおいしく食べられるように、との思いで開発されたものばかりです。これらを頭の片隅に置きながら、行儀よく、食材に感謝しながら料理を食べてこそおいしい食事はいただけるのです。

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